アニャン式ダルタニャン物語

LA VIE AVENTUREUSE DE DARTAGNAN

第二部 「二十年後」


                        *フロンドの乱 略図 *
                          たぶんこんな感じ。

            <<国王 ルイ14世>>
                    ↑        <太后 アンヌ・ドートリッシュ>    
                    ↑                        ↑
                    ↑                    宰相マザラン
                    ↑                        ↑
      【フロンド派(対マザラン)】 ←→ 【マザラン派(宮廷側)】
                  アトス                    ダルタニャン
                 アラミス                    ポルトス

    レス大司教補  ボーフォール公  ・        コマンジュ
    ブルッセル  ルーヴィエール    ・          ギトー
    ロングヴィル夫人  プランシェ  ・
    ローシュフォール  マイヤール  ・      コンデ大公(?)

第3巻「我は王軍、友は叛軍」

旧友との再会

あれから20年。ルイ13世とリシュリューの死後も宮仕えを続けたダルタニャンは、今では宰相マザランの下に仕えるようになっていた。

フロンドの乱に頭を痛めていたマザランに命じられ、ある日ダルタニャンは、旧友の三銃士、アトス・アラミス・ポルトスを仲間に引き入れるための旅に出る。昔の手紙や、偶然再会したかつての従者プランシェの情報から、ダルタニャンは3人の居所を突き止めることができた。

5歳サバを読んでいたアラミスは、神父の身でありながらフロンド派のロングヴィル夫人とあいびきしていた。
溜め息連発だったポルトスは、男爵の肩書き欲しさにダルタニャンに丸め込まれ、マザラン側につくことになった。
アトスは、よぼよぼになっているだろうというダルタニャンの予想に反し、息子ラウルに情熱を注ぎ込んでピチピチ。マザランをお気に召していない様子だった。

ボーフォール公脱獄

アンリ4世の孫ボーフォール公は、マザランによって5年前からヴァンセンヌの城(牢)に入れられていた。彼が脱獄を企てているという噂を聞く度に、気が気でなかったマザラン。そしてついに、アトスとアラミスが送り込んだグリモー(アトスの従者)の協力で、ボーフォール公は悲願の脱獄に成功したのだった。

パリに戻ったダルタニャンは、ポルトスを連れてマザランに謁見していた。その折も折、ボーフォール公脱獄の報がマザランに伝えられる。ダルタニャンとポルトスは初仕事だと言わんばかりに、ボーフォール公を連れ戻すとマザランに約束。
ついにボーフォール公を追いつめた2人だったが、形勢は逆転。それもそのはず、ボーフォール公についていたのは他ならぬアトスとアラミスだったのだ。
フロンドの乱によって、完全に敵味方の立場に分かれてしまった4人。友情にかすかに亀裂が生じる。

翌日、話し合いの場を持とうと新王宮前広場に集結した4人。始めは不穏な空気が流れていたが、アトスの働きかけによって、4人の仲はなんとか修復されたのだった。

第4巻「謎の修道僧」

ミレディーの息子

アトスの息子ラウルは、コンデ公の下で戦役デビューを果たすためにフランドルへと向かっていた。途中ギーシュという青年と出会い、意気投合した2人は共に戦地を目指す。

目的地直前で、2人は瀕死の負傷者を見つける。その男の望みで、通りかかった修道僧に懺悔を頼み、2人はその場を後にした。
瀕死の男が、かつて自分が首斬り役人だったこと、その時処刑した女のことを僧に告白すると、僧は自分がその女の子供であると告げ、いきなり男に短剣を刺し逃走。ちょうどそこへ、ラウルを追ってきたグリモーが到着し、事態を察する。
ラウルに追いついたグリモーはパリへと引き返し、アトスと、一緒にいたダルタニャン、アラミス、ポルトスにミレディーの息子についての報告をしたのだった。

イギリス王の不幸

イギリス王妃と娘のアンリエットはフランスに亡命していたが、マザランの処置により、かつての王宮ルーブルで、うらぶれた生活を強いられていた。ウィンター卿はそんな王妃の支えとなり、側に仕えていた。

一方、マザランのもとにミレディーの息子モードントが現れる。彼は、イギリス軍の総司令官クロムウェルの使いとしてフランスにやってきていたのだった。

王妃を訪ねてきたラウルがアトスの息子だと知ったウィンター卿は、アトスに連絡を取り、助けを求める。
王妃に謁見し、イギリス王チャールズ1世の友人になって支えて欲しいと頼まれたアトスとアラミスは、ウィンター卿と共にイギリスへ渡る。
途中モードントと遭遇した3人は、自分たちが母の敵であることを彼に悟られてしまう。

ブルッセル逮捕からパリ脱出

ランス戦勝の謝恩式の最中、フロンド派の代表ブルッセルが逮捕される。これを機に、フロンド派が奮起。
ブルッセルの息子ルーヴィエールと、フロンド派の要・レス大司教補は、3人のリーダーを立てる。プランシェ、ローシュフォール、そして謎の乞食マイヤールの統率により、パリには一夜にして1万人のバリケードが出来上がった。
頑として市民側の要求を聞き入れなかった太后も、周りの説得により、ついにブルッセルの釈放命令を出したのだった。

一方で、アンヌ太后と、その恋人でもある宰相マザランは、幼い国王ルイ14世と共にパリを抜け出してサン・ジェルマンへ移るという計画を秘密裡に立てていた。マザランはダルタニャンとポルトスを呼び出し、2人にその護衛を命じる。

まずマザランを移し終えたところで2人が新王宮に戻ると、市民の間では、国王がパリを捨てたという噂が広まり、暴動が起きていた。
ダルタニャンの機転により国王が眠っている姿を民衆に見せると、民衆は納得し暴動は嘘のように収まった。その隙にダルタニャンは国王や太后らを王宮から抜け出させたのだった。

イギリスで

ダルタニャンとポルトスは、マザランから、今度はモードントに会いに行きロンドンまでついていくよう命じられる。

一方、イギリスに渡ったアトスとアラミスは、イギリス国王チャールズ1世にかしずいていた。
国王に味方していたはずのスコットランドは、国王を裏切り、クロムウェルが国王を買収。国王にとって情勢はますます不利なものとなっていった。

味方も残り少なとなった国王軍は、ウィンター卿を国王の身代わりに立てて前進。敵側には、フランスから戻っていたモードントが先頭に立っていた。モードントは伯父の姿を一目で見破り、自らの手でウィンター卿を撃ち抜いた。
モードントの後ろにいたダルタニャンとポルトスは、戦場にてアトスとアラミスに再会、2人を捕虜にする。お互い知らぬ振りを決め込んでいた4人は、まんまとモードントを騙し、隙を見て宿舎から脱出した。

第5巻「復讐鬼」

チャールズ1世の処刑

4人は、捕虜となった国王チャールズ1世を護送する一団に合流する。国王を逃がそうと画策する4人だが、すんでのところでモードントに追いつかれ、計画を見破られてしまう。4人は何とか追っ手から逃れたのだった。

ロンドンに入りイギリス風に変装する4人。
法廷に連れられた国王は、形ばかりの裁判で死刑を宣告される。

どうにかして国王を救い出そうと智慧を振り絞る4人。ロンドンの首斬り役人を捕え、司教に扮したアラミスを国王の元へ送り込み、処刑台の組み立てを遅らせ、宮殿の壁に穴を掘り…と健闘するが、そのかい空しく、処刑の役を買って出た覆面の男によってついに刑が執行されてしまう。
その覆面の男がモードントであったことを突き止めた4人は、ついに彼を追いつめるが、またしてもすんでのところで逃げられてしまう。

フランスに帰ろうとした4人の乗った船には、モードントが先回りしており、船ごと爆破するための大量の火薬が積み込まれていた。偶然にもその計画に気付いたダルタニャンたちは、モードント側の裏を掻いて小舟で脱出。船は爆発した。
海に投げ出されたモードントは、助けを求めて小舟に近づいてきた。ミレディーの息子ということで複雑な思いを抱いてきたアトスは、周りの制止を振り切って手を差し伸べるが、逆にモードントに海に引きずり込まれる。アトスはとっさにモードントの胸に短刀を突き刺したのだった。

マザランの別荘

ダルタニャン、ポルトスと別れたアトス、アラミスは、大雨で水浸しのパリに戻ってきた。パリではまさに宮廷側とフロンド派が正面から対立しようとしていた。

一方、命令に背いてイギリス国王を助けようとした事で、マザランの怒りを買ったダルタニャンとポルトスは、マザランから兵を向けられてしまう。

ダルタニャンとポルトスの消息が掴めないため、アトスとアラミスは2人を探しにパリを出ることに。
手掛かりを探るうちに、ダルタニャンとポルトスがリュエイユに連行されたことを知る2人。アトスは太后に会いに行き、2人の行方を突き止めてくれるよう太后に頼むが、退出したところを逮捕されてしまう。

リュエイユにあるマザランの別荘に連行されるアトス。同じ敷地内に捕えられていたダルタニャンとポルトスは、アトスがここに囚われたと知り、計画を実行。スイス兵に化けた2人は、アトスに会いに行こうとしていたマザランの後をつけ、マザランを人質に取る。3人は揃ってリュエイユを脱出することができたのだった。

フロンドの乱の終幕

ポルトス邸のあるピエールフォンで、マザランに条約の署名をさせる4人。
ダルタニャンは条約の批准を取り付けるため、マザランの手紙を太后に届ける。ダルタニャンの誠心誠意の説得により太后もついに承諾、マザランは太后のもとに帰され、パリ条約が調印される。ダルタニャンは銃士隊長に、ポルトスは男爵になり、アトスには勲章が贈られたのだった。

国王一家はパリへ帰還することになった。ダルタニャンもポルトスもその護衛に当たる。
ものすごい人波と混乱の中、ダルタニャンは、図らずもローシュフォールの胸を長剣で貫いてしまう。
ポルトスもまた、フロンド派のリーダーの一人、マイヤールを手にかけていた。ポルトスは、自分の殺めた男が、かつてのボナシューであることを思い出す。

宮廷にとどまって元帥を目指すダルタニャンを残し、4人の友人は再び別れ別れとなったのであった。