アニャン式算術(通貨の換算)
講談社版(鈴木力衛訳)での注釈を参照しています。
- 基本 : 1フラン = 1,000円
- (↑当時の) (↑1960年頃の)
- 1960年当時の円は、現在の円の7〜8倍くらいと考えてください。(悠宇さんMerci!)
1リーヴル | = | 1フラン | = | 1,000円 |
1エキュー | = | 3フラン | = | 3,000円 |
1ピストール | = | 10フラン | = | 10,000円 |
1ルイ | = | 20フラン | = | 20,000円 |
1スウ | = | 1/20フラン | = | 50円 |
- 補足
- 関連ページ : コインの散歩道 > 貨幣(通貨)の単位・近世・近代ヨーロッパ
- 1577年〜(第一部あたり)
- 1エキュ(金貨)=3リーヴル
- 1フラン=1リーヴル
- 20ソル(スウ)=1リーヴル ※スウという単位は1715年以降らしい
- 1640年〜(第二部以降)
- 1エキュ(金貨)=5リーヴル (1647年になくなる)
- 1ルイ(金貨)=10リーヴル
- 1ピストール=10リーヴル
- 1エキュ(銀貨)=5リーヴル
- 20ソル(スウ)=1リーヴル
このあたりは、デュマも鈴木氏もかなりアバウトなので、深く考えずに(笑)参考程度にしてください。
(と言ってる私もかなりアバウト)
では実際に作中でどのように使われていたか見てみましょう〜!
第一部 * 第二部 * 第三部 * ポンドの交換率について
第一部
- ダルタニャンの馬の値打ち(1-1)
- 20リーヴル = 2万円
- 実際に売れた金額
- 3エキュー = 9,000円
- 最後の行程で手荒く乗りこなしたあとにしては、ずいぶんいい値。
- ダルタニャンの父親からの餞別(1-1)
- 15エキュー = 4万5,000円
- 財布に残っていたお金
- 11エキュー = 3万3,000円
- フラン・ムーニエ旅館の亭主に握らせた金
- 2エキュー = 6,000円
- トレヴィル殿の年収(1-1)
- 1万エキュー = 3,000万円
- トレヴィル殿がパリに出てきたときの所持金
- 4エキュー = 1万2,000円
- すごい出世です。
- ルイ13世が賭けで勝ったお金(1-6)
- 80ルイ = 160万円
- ルイ13世からダルタニャンが拝領したお金(1-6)
- 40ピストール = 40万円
- プランシェの日給(1-7)
- 30スウ = 1,500円
- 今だったら1万ちょいってとこですか。じゃあ、まあまあか。
- ポルトスが4人の暮らしを賭けて乾坤一擲の大勝負(1-7)
- 10ピストール = 10万円
- 勝負の結果
- 借金25ピストール = 25万円
- 小間物屋の商売によるボナシューの年収(1-8)
- 2〜3,000エキュー = 6〜9,000フラン = 6〜900万円
- どうにか不自由なく暮らせる、というところらしい。
- ボナシューがリシュリューに買収された金額(1-14)
- 100ピストール = 100万円
- 王妃の秘密の役目を果たした時の報酬(1-17)
- 1,000ピストール = 1,000万円
- ボナシュー夫人の予想。
- ダルタニャンのロンドン出発前の所持金(1-19)
- 300ピストール = 300万円 (→4人で75ピストールずつ分ける)
- ボナシューがリシュリューからもらった100ピストール+王妃が弟のスペイン王からもらった指輪を売ったお金と思われます。
- プランシェへのチップ(朝)(1-23)
- 1エキュー = 3,000円
- プランシェへのチップ(夜)(1-24)
- 半ピストール = 5,000円
- サン・クルーの老人への口止め料(1-24)
- 1エキュー = 3,000円
- ボナシュー夫人をさらっていった男たちが、老人から梯子を借りた時の駄賃。
- アトスとグリモーが「金のユリ」の酒蔵で飲み食いした分(1-27)
- 100ピストール(以上) = 100万円
- 亭主に没収されたアトスの財布の中
- 60ピストール = 60万円
- にせ金だと言われていたので、亭主が役所に届ける。
- アトスの馬を亭主が値踏み
- 50ピストール = 50万円
- アトスの馬をダルタニャンが値踏み
- 80ピストール = 80万円
- これで宿代は帳消し。
- 三銃士が、バッキンガム公からもらった素晴らしい馬を売った値段(1-28)
- アトス:100ピストール = 100万円
- 馬を賭けて負けたのでリベンジ。最終的に賭けに勝ち、取られた馬か100ピストールかを選ぶ場面で、100ピストールの方を選びました。
- アラミス:60ルイ = 120万円
- ポルトス:80ルイ = 160万円
- 結果、ポルトスが一番高い値段で馬を手放したことになりました。
- ちなみに馬具2組で
- 300ピストール(の値打ち) = 300万円
- パリへ戻る時の4人の所持金(1-28)
- ポルトス:30エキュー = 90フラン = 9万円
- アラミス:10ピストール = 100フラン = 10万円
- ダルタニャン:25ピストール = 250フラン = 25万円
- 合計:90+100+250+α(アトス) = 440フラン+α = 475リーヴル = 47万5,000円
- ん?無一文も同然と言ってたアトスの所持金は、結局35フラン=3万5,000円?だとしたら結構残ってるじゃん。
- イギリス人(アトスの決闘相手)の年金
- 1万5,000ルイ = 30万フラン=3億円
- 遺族が相続。彼の財布はイギリス人の従者たちに渡される。
- ウィンター卿の年金
- 30万リーヴル = 3億円
- トレヴィル殿の10倍ですよ!
- ダルタニャンがアンヌ王妃からもらった指輪(1-23)
- 1,000ピストール(の価値) = 1,000万円
- トレヴィル殿(1-23)、アトス(1-27)の目きき。
- デ・ゼッサール殿にダイヤの目利きを頼んだところ
- 7,000リーヴル = 700万円
- 豆知識・ダイヤの行方
- ダルタニャン → デ・ゼッサール殿 → アンヌ王妃 → マザラン(3−4)マザランの推測では1万リーヴルにもなる →ダルタニャン(4−23) → イギリスで首斬り役人を買収するため、1万2,000ポンドで売却(5−6)
- ちなみにここでの「ポンド」は「リーヴル」の誤訳と考えられますので(旨樫いさこさんMerci!)、1万2,000ポンド=1万2,000リーヴル=1,200万円。なかなかいい値段で売れましたね。
- コクナール夫人の夫の遺産
- 80万リーヴル = 8億円
- ポルトスの読みは的中ですね。(笑)
第二部
- マザランがダルタニャンにしぶしぶ払った路銀
- 100ピストール = 100万円
- これがリシュリューだったら…
- 2万エキュー = 6,000万円(+手付金に500ピストール=500万円)
- マザラン自らこう言ってました。自分のケチっぷりに満足しながら。
- ポルトスがコクナールから相続した金額
- 80万リーヴル = 8億円
- アラミスの年収
- 1万2,000リーヴル = 1,200万円
- ポルトスの年収
- 4万リーヴル = 4,000万円
- サン・ジェルマンでダルタニャンが売りさばいた、わら1つの値段(最初の見込み)
- 参照記事
- 1ピストール = 1万円
- 400で400ピストール = 400万円
- わら1つの値段(次の見込み)
- 1ルイ = 2万円
- 1人2つ×200人 = 2ルイ×200 = 400ルイ = 800万円
- 秣屋で仕入れ
- わら50束 = 3ピストール = 3万円
- その他に、旅籠屋で200束、小作人グロ・ルイから180束を仕入れ、計430束になる。この時点での売上見込は430ルイ(=860万円)。
- 実際に売ったわら1つの値段
- 1ルイ = 2万円
- 朝の5時のわら1つの値段
- 80リーヴル = 4ルイ = 8万円
- ムースクトンが徐々に値段を吊り上げたようで、ダルタニャンたちはおそらく気付いていません。その分の利益はムースクトンの懐へ。
- 儲け
- 430ルイ = 860万円
- +100ルイ(ムースクトンの猫ばば) = 200万円
- ダルタニャンとポルトスで山分け
- 215ルイずつ = 430万円ずつ
- 最終的なそれぞれの儲け
- ダルタニャン : 219ルイ = 438万円
- ポルトス : 211ルイ = 422万円
- ポルトスが4ルイでダルタニャンに寝床を交渉したため。
- (4−25)の仏語章題「ダルタニャンとポルトスがわらを売って219ルイと215ルイ儲けた方法」となってます。でもポルトスの儲けは、最終的には211ルイのような…(旨樫いさこさんMerci!)
第三部
- プランシェ商会のダルタニャンとプランシェの投資額
- 2万リーヴル = 2,000万円 ×2
- プランシェ商会の見込んでいた利益
- 30万リーヴル = 3億円
- 実際に戻ってきた額
- 30万ポンド
- ここでの「ポンド」は「リーヴル」の誤訳と考えられますので、30万ポンド=30万リーヴル=3億円。予想通りの利益が出たというわけですね。
- マザランがカルタで勝ったお金
- 5万エキュー = 1億5,000万円
- これをフィリップ君の結婚祝いにとそっくり渡したマザラン殿。かなり無理してました。
- マザランの財産(byコルベー)
- 4,056万200リーヴル9スウ8ドニエ = 約405億6,020万円
- マザランの隠し金(byコルベー)
- 1,300万リーヴル = 130億円
- なんだよ、マザラン金持ちじゃんかよ(笑)。この隠し金はマザランの死後ルイのもとへ渡ります。
- フーケの財産
- 1億5,000万リーヴル = 1,500億円
- ケタがすごいことになってきましたよ〜〜!!今だったら一兆円超えてるところです!!
- 没落寸前のフーケの所持金
- 70万リーヴル = 7億円
- これでも十分すごいんですが。(笑)
- ダルタニャンが「聖母像の居酒屋」に取り立てた今期の家賃
- 375リーヴル(37ピストール半) = 37万5,000円
- ダルタニャンがこの居酒屋を購入した額
- 3万リーヴル = 3,000万円
- 居酒屋の賃料
- 1,000リーヴル = 100万円
- 屋根裏の賃料
- 500リーヴル = 50万円
- グレーヴ広場での処刑を眺めることができるらしい。
- ダルタニャンの目下の財産
- 10万エキュー = 3億円
- 50年の宮仕えの間に持った全財産の3倍だそうです。
- ダルタニャンの年金
- 2万リーヴル = 2,000万円
- フーケだったらこれだけ出した
- 10万リーヴル = 1億円
- デムリとリョードが横領したとされる公金
- 1,000万リーヴル = 100億円
- ベーズモーの年金(マザランの親衛隊長時)
- 1万2,000リーヴル = 1,200万円
- これをコルベーに半額に削られちゃったそうです。
- ベーズモーのバスチーユの年収
- 5万リーヴル = 5,000万円
- しかし2人の前職者に対する心づけ
- 15万リーヴル = 1億5,000万円 ずつ
- この支払いはアラミスが引き受けてました。
- フォンテーヌブローの祝宴に、ルイがフーケに所望した額
- 400万リーヴル = 40億円
- ベリエール夫人が宝石類を売って用意したお金
- 105万リーヴル = 10億5,000万円
- フーケがベリエール夫人の宝石類を買い戻したお金
- 140万リーヴル = 14億円
- フーケがヴォーの庭園にかけたお金
- 7,200万リーヴル = 720億円
- この辺まで来るとだんだんお金の感覚が麻痺してきます。
- ヴォーの祝宴の予算額
- 600万リーヴル = 60億円
- ヴォーの祝宴費用・アラミス案
- 2,000万リーヴル = 200億円
- 全てを賭けてましたからね。
- フーケの不正流用疑惑
- 1,300万リーヴル = 130億円
- ヴァネルの全財産
- 3〜40万リーヴル = 3〜4億円
- 検事総長職を得るのに
- 150万リーヴル = 15億円
- フーケがこの職を売った額
- 140万リーヴル = 14億円
- フーケはこのお金でベリエール夫人の宝石を買い戻したわけです。
補足:ポンドの交換率について情報をいただきました。
- ぶるー・べるさんより(2006-02-14)
- 1ルイ=金8gくらい=20〜40リーブル【Ecu(金3.35g)】(〜1647)
- 金1オンス(28g)=3ポンド17シリング9ペンス(1712年)
- 1ルイ=20フラン=1ポンド?
- 関連ページ : コインの散歩道 > 貨幣(通貨)の単位・近世・近代ヨーロッパ
- 山川慧さんより(2006-02-18)
- 参照:「西洋貨幣史」(久光重平著 国書刊行会 1995年)
- 1640年の貨幣改革で、金貨の単位は1フラン=1ルイと名称が変わり、実質的には5リーヴル相当。この5リーヴルという高値は、戦争による金の高騰でもたらされたそうです。1ルイ金貨3.35グラム中、958.33/1000が金だそうです。
- ポンドとの関係となれば、「イギリスの金貨に何グラムの金が使われ、なおかつその金貨が何ポンド相当であるか」で、答えが出るはずなのですが…
- 旨樫いさこさんより(2007-09-15)
- 1エキュ金貨3.35グラム中、958.33/1000が金=5リーヴル相当
- 1ルイ金貨約6.69グラム中、916.67/1000が金=10リーヴル相当
- 半ルイ金貨3.345グラム=5リーヴル相当
- 補足
- 「西洋貨幣史」では、1640年には1エキュ=5リーヴルになっていたので、新たに10リーヴルの1ルイを新設した、となっています。
- ルイ14世が数年後にエキュ金貨と4分の1エキュ銀貨の鋳造を中断したため、ルイ金貨がフランスにおける唯一の金貨となったそうです。
- 関連ページ : Landlash > ルイ金貨は『三銃士』の時代にはない
- ↑の慧さんと旨樫さんの情報をもとに管理人が計算(2007-09-16)
- 1ルイ金貨に含まれる金は、約6.13グラム。
- 1ギネア金貨に含まれる金は、8.35グラム。
- 1ポンドを20とすると、1ギネアは21くらいの価値とのことなので、1ポンド=金7.95グラム(くらい)。
- 1ルイ=10リーヴルとすると、1リーヴル=金0.61グラム(くらい)。
- 1ポンド:1リーヴル=7.95:0.61
- →1ポンド=約13リーヴル(1640年ころ)
- 旨樫いさこさんより(2006-02-15)
- 1693年発行・ルイ14世の1ルイ金貨が、17シリング相当=17/20ポンド
- 1ルイ=10リーヴルとすると、17/20ポンド=10リーヴル
- →1ポンド=11.76リーヴル
- 関連ページ : Landlash > ルイ金貨は『三銃士』の時代にはない
- 「コインの散歩道」をもとに管理人が計算(2006-02-20)
- 1ポンド=11〜12リーヴル(フラン)
- 旨樫いさこさんより(2006-09-10)
- 貨幣の場合、フランスのリーヴルと、イギリスポンドの区別をつけるために後者は "livre sterling" と表記します。(複数形では"livres sterling"。)
英語のほうでも sterling が『英国貨幣の』という意味があるので、"pound sterling" とポンド貨を表す事もあります。(この複数形も"pounds sterling"。)
- 「sterling」がついていないものも「ポンド」と訳している箇所がいくつか有り。
- 邦訳と仏語版と英語訳のポンドくらべ
- 旨樫いさこさんMerci!
- (4巻27章) 四十万ポンド○ : quatre cent mille livres sterling : four hundred thousand pounds
- (4−27) 二十万ポンド○ : deux cent mille livres sterling : two hundred thousand pounds
- (4−30) 二十万ポンド○ : deux cent mille livres sterling : two hundred thousand pounds sterling
- (5−2) 英貨二千ポンド○ : deux mille livres sterling : 2,000
- (5−6) 五十ポンド○ : cinquante livres sterling : fifty pounds
- (5−6) 百ポンド○ : cent livres sterling : hundred pounds
- (5−6) 一万二千ポンド×→リーヴル : douze mille livres : Five hundred pounds
- 英語では、1ポンド=24リーヴルで換算したためか、「500ポンドで売れた」と訳していました。
- (6−33) 二十万ポンド×→リーヴル : deux cent mille livres : two hundred thousand livres(crown?)
- (6−33) 三十万ポンド×→リーヴル : trois cent mille livres : three hundred thousand livres(crown?)
- なぜか"crown"という単位で英訳されているものが有り。1クラウンは5シリング=1/4ポンドなので、リーヴルとは合いません。次の章でエキュをクラウンと訳している箇所があり、1660年ごろなら、1ポンドが20リーヴル=4エキュ(1エキュ=5リーヴルとして)でもおかしくないので、1エキュ=1クラウンでも不自然ではないかなと。
- (6−34) 三十万ポンド×→リーヴル : trois cent mille livres : three hundred thousand livres
- 6−34で訳されている「ポンド」はすべて「リーヴル」と考えて良いようです。
- 旨樫いさこさんより(2006-09-11)
- 1リーヴル=1シリング3ペンス(1653年)
- 1ポンド=20シリング、1シリング=12ペンスなので、3ペンスは1シリングの1/4だから、1リーヴル=1.25シリング。
- 16リーヴル=1ポンド
- 関連ページ : English Coinage